ボイストレーニングは、正しい発声法を学ぶ手段です。
歌手や俳優、声優、アナウンサーなどは、声を使う職業です。こうした人たちにとって、ボイストレーニングは必要不可欠です。
その他にも、ビジネスマンや裁判官、予備校や塾の講師などがボイストレーニングをする例が多いものです。
さらに、一般の人がボイストレーニングを始めるケースも増えています。たとえば、カラオケでうまく歌いたい人、発声や滑舌を良くして周囲に明るい印象を与えたい人などです。
ボイストレーニングを学ぶためには、いくつかの方法があります。
まず、専門の教室やスタジオへ行き、レッスンを受ける方法です。あるいは、自分で教材や書籍を参考にし、自学自習する方法もあります。
ボイストレーニングにおいては、注意すべきポイントがいくつも存在します。
その中でも特に重要なのは、発声する際の姿勢と呼吸法です。
正しい姿勢を取るには、まず肩幅くらいに両足を開きます。
そして、上半身に余分な力を入れないようにします。さらに足の爪先に重心を多めにかけ、やや前傾姿勢を取ります。
続いて、身体の中心に太い線が通っているというイメージを作ります。後頭部・肩・腰・脚・かかとが真っすぐに結ばれているという感覚です。同時にヒップと腹部をぎゅっと引き締め、顎を引きます。視線は自分の正面に置きます。
猫背や鳩胸にならず、天井から紐に吊られているような感じで、自然に立つことが大切です。
ボイストレーニングでの基本的な呼吸法は、腹式呼吸だといわれています。
この腹式呼吸を身につけることで、大きくはっきりとした発声が可能となります。
腹式呼吸をするためには、初めに『丹田』という部位を意識します。腹式呼吸では、この丹田を中心に、背中や脇腹、腰までが空気ポンプとなるのです。
具体的には、最初に身体の中の空気をすべて吐き出します。この時、口からゆっくりと吐き、腹筋の力で丹田をへこませるようにします。
息を吐き切ったら、今度は逆に丹田の周囲を膨らませるイメージを作ります。それと同時に、鼻から静かに空気を吸い込みます。すると、自然に空気が腹部に取り込まれていきます。
この練習を繰り返すと、身体が腹式呼吸のリズムや筋肉の使い方を覚えます。それによって、幅と深みのある声を出すための基礎ができあがります。
ただし、腹式呼吸においても、首や肩などに力を入れるのは禁物です。また、口で息を吸い込むと腹式呼吸の妨げになります。肩や胸が上下に動いていないかどうか、鏡などを見てチェックすると良いでしょう。
ボイストレーニングは地道な訓練ですが、継続して行えば一定の効果を得られます。
自分の目的や都合に合わせて最適なレッスン法を選び、声をコントロールする技術を身につけたいものです。