ボイストレーニングを始めてしばらくすると、
次の様な悩みにぶつかる事があります。
「望んだように高音を出すことができない」、
「なんとか声が出る様になってきたんだけど、声にもう一つ深みがない」
などの悩みです。
初心者から上級者まで、
この様な悩みを持つ方は意外に多いのではないでしょうか。
この様な悩みを解消してくれる基礎的なトレーニングが通称、
リップロールと呼ばれるトレーニング方法です。
一言で説明すると、
唇を突き出して息を吐き、
上唇と下唇をプルプルと震わせるトレーニングです。
まだ小さな子どもだった頃、
よくやった事がある方も多いかもしれません。
しかし、このリップロールには様々なメリットがあります。
まず、子どもが本能的にする遊びと極めて形態が近い為に、
喉の筋肉がリラックスした状態で息を吐き、
発声を行う練習になります。
よくカラオケなど聞く
「頼むから止めて!」と言いたくなる様な、
無理をしている発声方法とは、
正反対の発声方法と言っていいでしょう。
言うまでもありませんが、
無理をして声を出す発声方法は、聞く方がつらいだけではなく、
本人も喉を痛めたり、苦痛を感じるなど、様々な問題があります。
従ってリップロールトレーニングに熟達することで、
声に深みが出るだけではなく、
自然な発声でそれまでよりも高い音域の発声が可能になるのです。
また、リップロールで声に深みが出るのは、医学的な根拠もあるそうです。
ボイストレーニングを少しでも行った事がある方なら、
誰もが喉頭(喉仏)を下げる様に注意された事がある筈です。
初心者はどうしても喉頭が上がりがちになってしまい、
無理をしている声質と言うか、
俗に言うキンキン声が中心の発声になってしまうからです。
ところが、自分の喉頭(喉仏)を触りながら、
リップロールによる発声を行ってみてください。
喉頭はずっと下に下がっていると思います。
つまりリップロールを繰り返し行う事で、
喉頭を下げて発声を行う習慣が身につくという訳です。
では、具体的なリップロールの説明です。
子どもの頃を思い出して、唇を前に突き出し、
息を吐きながらブルブルと唇を震わせてみます。
それができれば、今度は長く続ける練習をします。
子ども時代の遊びと違う事としては、
唇のブルブルと言う振動音が安定的に途切れること無く、
続ける事を心がける事です。
これが可能になると、次に発声と組み合わせます。
呼吸はもちろん、腹式呼吸で行い、
次に音階に合わせる様にステップアップしていきます。
このリップロールトレーニングは
発声前の準備運動としても役に立つので、
覚えておいて損は無いボイストレーニング方法だと思います。