腹式呼吸はできるけれど、いまひとつ声量に自信がない、
音程は取れるけれどもっと滑舌をよくしたいというあなたに、
効果的な発声練習をお教えいたします。
まず、簡単なエクササイズで腹筋を鍛えましょう。
足を肩幅に開いてみぞおち辺りに手を当て、腹式呼吸をします。
最初は3秒かけて息を吸い、2秒止め、15秒かけて吐いていきます。
そして、息を吐くときに歯の隙間から「スー」と音(咽喉から出す声ではない)を
出しながら行うとわかりやすくなります。
腹式呼吸がうまくいくようになってきたら、徐々に呼吸のスピードを上げていきます。
吐く時間が短くなるにつれ、一度に吐く空気の量は多くなります。
空気を吐くときは、その量が一定になるようにしましょう。
つまり、長い間吐くときは一定の細さ・少なさで、
一気に吐くときは一定の太さ・多さで吐ききります。
このことに留意しておくと、声を出したときに一定の声量を保って歌うことができるからです。
最終的に、「スッスッスッスッスッスッ」と1秒に1回のペースで吐きます。
このエクササイズを、少しずつ、1日置きくらいに続けてみてください。
最初は胃のあたりの腹筋が筋肉痛になると思います。
いつもエクササイズの最後は、うつぶせの状態から腕を立てて天井を仰ぎ、
アシカのように「伸び」をして腹筋を伸ばしてください。
整理体操の代わりです。
さて、滑舌ですが、こちらは早口言葉や演劇で役者さんが行う
「アエイウエオアオ カケキクケコカコ サセシスセソサソ……」という
発声練習が効果的です。
この時も、丹田(おへその下)に力を入れ、
腹式呼吸で自分の息が真っ直ぐ前に飛んでいくことをイメージしましょう。
そのとき、ア行とワ行、カ行とハ行、サ行とタ行、ナ行とラ行、マ行とバ行など、
聞き分けにくい子音の差異を明確に発音することを意識します。
たとえば、ワ行の発音は一旦すぼめた唇を一気に開けるようにしたり、
ハ行は咽喉を特に開けて勢いよく息を吐き出したり、
タ行は舌を歯の裏に当てて素早く話したりといったことを心がけていくと、
随分違いが明確になってくると思います。
鏡を見て発音するのも効果があります。
たとえば、「お」という発音をするのに、
わたしたちはしばしば「う」の口をしています。
少し口の形を意識するだけでも、歌うときには大きな差が出てきます。
早口言葉も、最初はゆっくり正しく発音し、
徐々にスピードを上げていくのがおすすめです。
いずれの場合も、腹式呼吸を忘れず、
咽喉を労わりながらお腹から声を出してください。